2015年式以前のスポーツスター・アイアン(前期型XL883N)に現行仕様の丸型エアクリーナーを流用する

前期型アイアンに現行のエアクリーナーを流用

ハーレーダビッドソンに数あるモデルの中で、世界的なロングセラーとなっているのがスポーツスターファミリーの「アイアン(XL883N)」である。

ノーマルでありながらカスタムルックが売りのアイアンは、2009年に発売が開始されるや否や爆発的なヒット車種となった。

今回は、日本での人気がとても高いハーレーの入門モデルであるIron883のエアクリーナーを、旧型純正の楕円形タイプから、2016年以降の丸型タイプに交換する方法を解説する。

craftyのフォークカバー

Iron883の特長

アイアンが発売される前のスポーツスターのカスタムの定番は、前後のサスペンションをローダウンさせ、ホイールなど各部をブラックアウトさせるのが主流であった。

特に有名なのが、俳優の武田真治氏が乗っていた黒のスポーツスター(2004年式・XL883)である。
武田真治氏のスポーツスター

とんねるずの番組で披露されたこのスポーツスターは、ホイールやタンク、フェアリング等を黒に統一し、前後のサスペンションをローダウンさせ、黒い鉄馬のような渋い姿に仕上がっていた。

武田真治のハーレー

番組内で賞賛されたこのスタイルだが、フルノーマルのXL883からこのシルエットを実現するとなると、100万円以上のカスタム費用が発生する事は想像に難くない。

そんな中、2009年に発売されたアイアンは、始めからエンジンやホイールなどの各部がブラックアウトされ、さらに前後のサスペンションがローダウンされており、ノーマルでありながら既に武田氏のカスタムスポーツスターに近い姿となっているのだ。
Iron883

テルゾのバイカーズ ミニマム ウォレット

Iron883のマイナーチェンジの歴史

2009年に発売されたアイアンは、2016年にフルモデルチェンジではないもののそれに近いほど大幅な仕様変更がなされた。
Iron883の前期型と後期型

発売の翌年である2010年には、シート下にあったECM(車載コンピューター)がリアシリンダーの後に移動。2014年には電気系統のシステムが一新された。

マイナーチェンジとなった2016年には、ホイールが9本スポークのキャストホイール、通称ナインスポークに変更となり、マフラーの色やドライブベルトカバーのデザインを一新。
さらにエアクリーナーが楕円型から丸型に変更され、シートも厚手のタックルシートとなった他、前後サスペンションの性能も大幅に向上したのだった。

Iron883のエアクリーナーの仕様変更

2016年に一新された新型のエアクリーナーは、今までのドデカイお弁当箱型から、丸型で艶アリ塗装のものに変更された。

アイアンのエアクリーナーの比較

中のフィルター自体も小型化され、旧型の厚手のペーパータイプからメッシュ構造を取り入れた多層構造のフィルターに変更。より吸気効率が良くなり、性能が大幅に向上した。
アイアン用エアクリーナーエレメントの新旧比較

また、エアクリーナー全体が小さくなったことにより、若干ではあるが車重の軽量化にも繋がった。

Iron883のカスタムの定番箇所であるエアクリーナー

前期型XL883Nに付いているエアクリーナーは、90年代以前のスポーツスターから継承されている「楕円型」のエアクリーナーである。

しかし、90年代以前の楕円型エアクリーナーは薄くできており野暮ったさは感じないのだが、前期型XL883Nに付いているものと同じ2004年から2020年のXL1200CX等までに採用されている楕円型エアクリーナーは、とても分厚くお世辞にもスタイリッシュとは言えない。
分厚くて存在感のあるスポーツスターの純正エアクリーナー

その為、旧型アイアンで真っ先にカスタムする箇所として長らく定番となっていたのがエアクリーナーである。

なぜ今回、社外品にせず純正品を流用することにしたのか

エアクリーナーというと、ハーレーカスタムの中では比較的安価に交換できる上、取り付けも難しくない為、自分で社外品に変えるオーナーも多い。

しかし、実際問題、スポーツスター用として売られている社外エアクリーナーの多くは、純正エアクリに比べ空気を吸う量が格段に多くなるため、本来はインジェクションチューニングとも言われる「燃調セッティング」を必須とする製品がほとんどなのである。

Sportster Dyno

つまり、社外のエアクリーナーにカスタムしたら、10万円以上の費用が掛かる「燃調」も同時に行う必要があるわけだ。

そんな中、この弁当箱のような野暮ったい旧型アイアンの純正エアクリーナーを、どうにか燃調を行わずにカッコよくできないか…ということを考えた末、2016年以降のアイアンに採用されている純正エアクリーナーを流用するということに行きついたのだ。

後期型アイアンのエアクリーナーを入手する!

後期型アイアンの純正エアクリーナーを新品で買うとなると、ディーラーで注文するわけだが、ハーレー純正品は社外品より高額なのがネックである。

私が調査した結果、アイアンのエアクリーナ一式を揃えるとなると、定価で4万円以上することが分かった。

楽天などを見ると、XL883Nに適合する社外のエアクリは1万円台からあるので、純正品は決して安くないことが分かった。
Amazonで売っているアイアン適合のエアクリ
Amazonで売っているアイアン適合のおすすめなエアクリーナー

そこで、メルカリやヤフオクで探すと、後期型アイアンの純正エアクリーナーが1万円程で有るわ有るわ…。しかも、新車外しで未使用のエアクリであっても1万円程で売られていた。

そんな中私は、慣らし運転後即交換された使用距離1000キロ以下のXL1200NS用エアクリーナー一式を見つけ、それを約5000円で購入した。
5000円で買った新型エアクリーナー

エアクリーナーエレメントを交換するタイミングでもあったので、とても良い買い物ができたと言えよう。

テルゾのキーフォブケース

アイアンのエアクリーナーの交換手順

旧型エアクリーナーの取り外し

①ヘキサゴンレンチを使い、883と書かれたプレート上にある2本の六角穴付ボルトを外す
2本の六角穴付ボルトを外す

②エアクリーナーエレメントを外す

エレメントを留めている3本のトルクスボルトを緩める。
エレメントが外れたら、裏面にあるガスケットも外しておく。

③バックプレートの取り外し

バックプレートを留めている2本のブリーザーボルトを外す。
ブリーザーボルト
ブリーザーボルトのOリングを再利用する場合は、状態をよく見ておくこと。Oリングは交換が望ましい。

新型エアクリーナーの取り付け

新型エアクリーナーの取り付け

④インジェクションとバックプレートの間のガスケットを用意

バックプレート裏にガスケットをセットする。このガスケットは毎回必ず交換する必要があるので用意しておく。
バックプレートガスケット

⑤新規に設置する丸型エアクリーナーのバックプレートを取り付け

2本のブリーザーボルトをラチェットレンチで締め付ける。ブリーザーボルトのOリングは出来れば交換すること。

⑥エアクリーナーエレメントの取り付け

エレメント裏のガスケットは要交換。

⑦エアクリーナーカバーの取り付け

丸型カバーの中央にある六角穴付ボルトを締める。

以上でエアクリーナーの交換作業は完了である。

エアクリーナーエレメントの交換時期に合わせて変更するのもおすすめ

今回私がアイアンのエアクリを交換しようと思った理由は、見た目をカッコよくしたいという思いだけではない。

丁度エアクリーナーエレメントの交換時期が近づいていた為、この際だからエアクリーナー式変えてしまおうと思ったのだ。

それで純正のエレメントを注文しようとしていたわけだが、純正品はエレメントだけで1万円する。しかし中古のエアクリーナーなら状態の良い品でも、ケースやバックプレートを含め一式で1万円程度で入手できる。

今回の選択はお財布と地球環境にやさしい上、プチカスタムにもなるので、旧型アイアンに乗っているオーナーはぜひ、エレメントの交換時期に新型アイアンのエアクリに交換してみてはいかがだろうか。